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幻を追いかけて ~まぼろしの滝~
- 2010/11/20(Sat) -
古座川源流では大雨影響でできた滝に行く手を阻まれ、
消化不良気味であったので、
もうひとつの滝まで足を伸ばしてみることにした。

古座川の支流にかかる、その名も「まぼろしの滝
道路ができるまでは何日もかけて踏み込まなければならないような
山奥深くに眠る、まさに幻の滝だ。

古座川上流の大塔山登山口から戻って、
途中の道を北西に折れる。
ここも細い道で、ほとんど車も通らないせいか、
至る所に折れた木や小さな落石が転がる。
舗装はされているものの、なかなか気を遣う道だ。

30分以上はそんな道を走っただろうか。
やがて道は行き止まりに到着した。

まぼろしの滝は存在した

まぼろしの滝の看板が見える。
文字はしっかり見えているものの、
看板を支える木は忘れ去られたように朽ちている。

横を流れる川は相変わらず水量が多く、
道路まで水が溢れ出しているほどだ。
今回はたどり着けるだろうか…

5分ということらしいが

滝まで5分とのことだが、道はどこに?
苔むした岩が雨水で湿ってとても滑りやすい状態。
とりあえず、この岩場を乗り越えて行かなければならない。

看板もあって、遊歩道も整備されているかと思いきや、
まぼろしの滝への道筋はなかなか最初から手強い。


自然の鉄条網

岩場を越えると、今度は鉄条網のように曲がりくねった木々が
行く手を遮る。
まるで魔女の館の周りにある茨の道のようだ。
谷は太陽を遮り薄暗く、曲がりくねったシルエットを
不気味に演出している。

奇妙に曲がりくねった木

いったい、この曲がりくねった木は何なんだろう。
まっすぐな木に絡みつき、寄生して養分を吸い取っているようだ。
山が何か得体の知れない物に侵食されているように思える。
ほんとに不気味で引き返した方が良いような気分になってくる。


さらにさかのぼる

さらに川の横をさかのぼる。
やはり水量が多く、かろうじて道であっただろう場所にも
水が溢れ出してきて、足場をかなり制限させてくる。

ガレた岩場を白い飛沫を上げながら流れてくる川は、
美しくもあり、恐ろしくもある。

しかし、行く手に明るい光を感じ、
滝の存在を感じるようになった。
滝の轟音は川の流れが激しすぎてかき消されてしまっているが、
滝前の開けた空間があることはなんとなくわかる。

まぼろしの滝は、事前の調査によると、
絶壁からまっすぐ落ちるきれいな直瀑だが、
いつもは水量が少ないため、風によっては右へ左へと流れる
風折れの滝となっているらしい。


問題のポイント


さて、今回もまた問題のポイントに辿り着いてしまった。
道は川の反対側から続いている。
川を渡らなければならない。
普段の水量なら簡単に渡れるのだろうが、
今日のこの水量では結構深さがありそうで、
濡れずに渡りきる事はできそうにない。
どこか岩飛びポイントでもないか周囲を調べるも、
流れもきつく、岩も濡れているので危険が伴う。

が、今回はあきらめたくない。
こんなこともあろうかと、持ってきたアウトドア用のサンダルを
ザックの中から取り出す。
ズボンのすそをまくり上げ、川の中へと進入。
冷たい水がひざまで届くが、何とか川を突破。
ここまで来たら引き下がれない。


あれは幻か

対岸に渡るとすぐに、見えてきた。
あれは幻か。
一条の白い光の筋が一直線に流れ落ちている。

光の中に幻の滝が見える

一歩ずつ近づくにつれてはっきりと見えてくるまぼろしの滝
それは想像以上に迫力のある立派な直瀑へと変貌していた。

滝の周りだけ明るく陽が当たり、白い飛沫が光り輝く。


全貌が見えてくる

やがて木々の切れ間から全貌が見えてきた。
水量が少なく風折れの滝と言われた姿はどこにも無く、
ダムの放流のように一気に流れ出してくる。

迫力満点

かたまりとなった水は地面に叩きつけられ、
近寄ることのできないくらいの水飛沫を巻き上げている。

注ぎ口

注ぎ口からはあふれるように水が流れ出している。

まぼろしの滝全景

まぼろしの滝は幻ではなく確かにここに存在した。
言い伝えのような風に霞むような滝ではなく、
山々の水を集めて力強く。

人々を寄せ付けない深い山、木々も川の水の試練も乗り越えた者だけが
見ることを許される絶景。

少し無理をして足を運んで良かったと思える瞬間。

小さな障害は乗り越えられても、この壁だけは越えられない。
圧倒的な自然の前に、しばし立ち尽くすことしかできなかった。



紀伊山地の山の奥の奥


紀伊半島の最深部。
どこまでも続く山々。
林道まで降りてきても、なかなか余韻が冷めることは無かった。




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