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巨木達の棲む森 ~片波川源流域~
- 2008/09/06(Sat) -
伝説の平安杉を求めて
伝説の平安杉を求めて…

京都京北町の奥地、片波川源流に巨大杉群生地があるという。
そのさらに奥地に幹廻り15.2mもある平安杉と呼ばれる
ひときわ巨大な杉が棲むという。

その巨人達の森へと足を踏み入れる。


杉の林道

周山街道から京北町中心部付近で東へ車を走らせること約30分。
片波川源流に進む林道に入る。
まさに林道と言えるような杉の林立する道を進んでいく。
この辺りの杉は植林である。
そもそも京都の北部と言えば、有名な北山杉があるように
杉のメッカだ。
綺麗に整備された杉のトンネルを楽しみつつ、
林道はさらに高度を上げ山の上へと続いていく。
ここからはほとんど舗装されていたい悪路。
バーストの心配もしつつ、慎重に車を進ませる。

鹿発見

かなり高度を上げ、視界も開けてきた頃、
道路のすぐ横で食事にいそしむ鹿を発見。
車を停めて社内から撮影しても、なかなか逃げない。
好奇心旺盛にじっとこちらを見つめている。

ここは鹿の食事場だろうか。
足下には新芽が広がる。
帰りにも同じ鹿がやって来ていた。

ここからさらに悪路を進む。
落石が多いので、注意して進もう。
ずいぶんと上に来たなぁ

ずいぶんと上まであがってきたなと思えば、
標高600mあるらしい。
ほとんど山頂付近である。
ここからは徒歩


そして程なく林道は行き止まり。
ここからは徒歩で、巨木の森を目指す。
15分ほど通行止めになっている林道を上っていくと、
観察路入り口が見えてくる。


観察路入口

ここからが本番。
巨木達が棲む森にようやく到着である。
なかなか辿り着くまでがなかなか大変な道程だったなぁ。

鬱蒼とした原生林

観察路とはいえ、森に踏み込んだ瞬間、
原生林の香りに包まれる。
かろうじて道は造られているものの、
左右に広がる森は多種様々な草木が雑多に生い茂る、
人の手が入っていない森である。

杉の木もあればブナの木もある。
そして特徴的なのは、くねくねと曲がって
からみつくような枝や幹が多いことだ。
森全体が蛇の様に見える。

宿杉

まず最初見見えてくる巨木が、この宿杉である。
枯れ死した杉の幹から様々な木々が寄生したかのように
生えている。
その数は6種類になると言うことだ。

今でこそ、この森は人の手の及ばない自然の森であるが、
平安時代から御杣御料(みそまごりょう)として守られてきた森で、
これらの巨木を切り出して御所などの建材として利用していたらしい。
その時に取られた手法が伏条台杉という手法で、
通常より高い2、3mの部分で幹を切り出し放置していると、
そこから新しい枝が伸びて何本もの幹となって育つという。
ただし、育っていくまでは100年以上。
人間の寿命より長い年月をかけて育っていく木を
昔の人は後生のために残していったのだ。

林立する巨人達

この宿杉を過ぎた辺りから、巨木達が群れとなって現れる。
最低限に整備された道に覆いかぶさるように、
または斜面から見下ろすように林立している。

その形は杉とは思えないような異形のもので、
妖怪や化け物のような風貌でここを訪れるもの達を畏怖させる。

奇妙な形のアシウスギ

一本の幹から何本の幹が伸びている杉。
シルエットは地面から突き出た悪魔の爪とも形容できるような
異様な形をしている。
ブナと巨杉の森

美しさと怖さを兼ね備えた森だ。
異様な形をした杉の木に驚かせたかと思えば、
ブナの木の緑と杉の黒いシルエットが織りなすコントラストに
息をのまされる。

このような遊歩道を歩いているうちはとても心地よいのだが、
夏のこの時期は耳の廻りを飛び交う虫の羽音に悩ませられた。
虫除けスプレーもあまり効果がなく、何度追い払っても
すぐにまとわりつかれ、なかなかゆっくり撮影できなかった。
この日は遭遇しなかったが、まむしやヤマビルも多く、
また熊も出没するらしく、夏に訪れる時はしっかり準備して
行けなければならないだろう。


平安杉

そして、この秘境の森の奧にひっそりと佇む、
平安杉が姿を見せた。
周囲は15m。何本もの幹が集まってできた巨木のようだ。

この片波川源流の大杉は、「アシウスギ」という種類のもので、
若木の時に枝が冬の雪の重みで地面に垂れ、
そこからまた成長するため、このような形になるという。。
また、地面に落ちたままの枝は、
そのまま地面に根を張り幹となって成長する。
それらが集まってこの太い幹を形成しているのかもしれない。

ちなみに平安杉の幹周15.2mというのは、
全国4位だとか。
参考までに、屋久島の縄文杉は16.0mで第2位。

見上げれば

見上げると立派な緑の葉をそれに向かって広げている。
この巨木の森の長たる堂々たる大杉だ。


折れた

しかし幹の廻りはあちこちが痛んでおり、
今にも果てようかとする老木に見える。
反対側に回り込むと、大きな枝が根元からはがれ折られた様に
なっていた。
この平安杉ももはや天命を全うしようとしているのか…。

伝説の平安杉を求めて

しばしここで悠久の時の流れを感じて、
平安杉とのひとときの時間を過ごす。

この異形の大杉達は、この後も世代を超えて
森に生きていくのだろうか。
または入り口付近で見た宿杉のように、
様々な植物達に飲み込まれていくのだろうか。

平安時代に後生の世代の為に遺された大樹も
いまや人々の記憶の中からも失われていこうとしている。

傷ついた幹を目に焼き付けて、
この巨木達の棲む森を後にすることにした。



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